今川日誌

すてきなご婦人

成人式があちこちで開催された三連休。小用で街に出かけた帰りのバス停で、和服姿のすてきな女性を見かけた。

成人式帰りの振袖姿は、街中でもチラホラ。自分の娘たちの成人式も記憶のはるか彼方に行ってしまっているので、あまり目に留まらなくなっている。ところが、そのご年配の方が着ている「キモノ」には、心惹かれるものがあった。長着は小豆色の花柄小紋の袷(あわせ)、塵除けには黒の絞りの羽織コート。髪はきっちりと一つに縛って髪留めで留めてあり、一本のほつれ毛もない。

暖かな日だったので、金沢でもコートは要らないくらい。羽織といっても、元々の袖は取り除かれ、羽織用の襟は無く、友布でキモノの襟が見えるよう細く丸く身頃に沿って仕立ててある。前合わせはボタンで留めてある。さらに羽織の友布で作った手提げかばんまでお持ちだ。

「すてきなお着物ですね!」思わず声を掛けてしまった。「母が作ったんです」そのご婦人の見た目年齢から察すると、そのお母さんはもう存命でないかもしれない。

見とれていたら、私が乗ろうとしているバスが来た。20分に1本しか来ないバスだ。とても残念だったが、話はそこまでだった。いつか、納得のおしゃれなキモノ姿に挑戦してみたい。

2020年01月13日